手元に、アイリッシュ・リネン(Irish Linen)
という名称で売られていた布地が2種類あります。
黒と白。
薄手で、写真のように非常に光沢があり、
ノリがついているのか、はりはりです。
水通しをしないといけないのですが、
見るだけでうっとりしていて、
まだ何も作るあてがありません。
文字の表す通り、
アイルランドが産地のリネンなんだろうなあ、
ぐらいの察しはつきますが、
じゃ、『フレンチリネンとはどう違うの?』
とか、
『アイルランド行けば、安く買えるのかな?』(こっちが比重大)
とか、結構わからないことが多いのです。
そこでいろいろ調べてみたら、
意外な事実が判明しました!
アイリッシュ・リネンの3つの謎!
それではいってみましょう!
謎その1『アイリッシュリネンの糸はアイルランド産じゃない!』
アイリッシュ・リネンというのは、
アイルランドで生産されたリネンに与えられたブランド名です。
このリネンは、進んだ農法が開発される前のアイルランドで、
昔から生育していたフラックス(亜麻)の繊維から
紡がれ織られていましたが、
当時は、最高級のリネンとして、
他を寄せ付けない別格の品質を誇っていたとのことです。
現在では、高級フラックス繊維のほとんどが、
フランス北部、ベルギー、オランダで栽培されています。
つまり現在では、
「アイリッシュ・リネンの原料はアイルランド産じゃない!」
ということなんです。
この亜麻繊維からアイルランドで栽培された、
純粋種ともいえるアイリッシュ・リネンともなると、
紡績会社の倉庫にうん十年眠っていたのを取り出してきた、
だとか、
なんだかブランデーみたいな話になってくるようです。^^
謎その2『それでも、アイリッシュ・リネンをよく見かける!』
だんだん謎解きも佳境に入ってきましたね。^^
なにやら、アイルランドでは生産されていない、
北欧やフランス産の亜麻繊維を使ったアイリッシュ・リネン、
というのが実際には存在するようですね。
有名なブランドで一番に思い浮かぶのが、
トーマス・ファーガソン社ですが、
現在でも、ダマスク織やジャガード織など、
ハイエンドの高級アパレル用のアイリッシュ・リネンを製造しています。
でも、ちょっと待ってください。
私の上で紹介した2種のリネンは、
トーマス・ファーガソン社から買ったものではないです!
現在市場では、
猫も杓子も
「アイリッシュ・リネン」と謳っているようなのですが、
この線引きはどのようにして行われているのでしょうか・・・。
謎その3『アイリッシュ・リネンを定義するギルドの存在』
“quoted from the website, http://www.irishlinen.co.uk/ Irish Linen Guild”
えー、アイリッシュ・リネン・ギルドによりますと、
アイリッシュ・リネンと呼べるのは、
アイリッシュ・リネン・ギルドの商標のついたものなのだそうです。
この商標がついたものだけが、
純粋なアイリッシュ・リネンと認められているのだそうです。
じゃ、どうやったらこの商標がいただけるのか。
≪ギルドの商標がつく条件≫
この定義はかなりゆるいもので、
アイリッシュ・リネン糸と謳うなら、紡績だけはアイルランドで、
アイリッシュ・リネン生地と謳うなら、織布だけはアイルランドでやってください。
というような縛りとなります。
つまり、亜麻の栽培から織りまですべての段階が、
アイルランドで行われなければならない、
というような要求はなされていません。
平たく言えば、
100%のリネン素材を使っているならば、
プロセス(紡ぐ、織る)がアイルランドで行われればいい。
ということですね。
また、アイルランド以外の国で裁断・縫製された洋服でも、
上の条件を満たしていれば、アイリッシュ・リネンの商標を掲げることができるようです。
具体例として;
1.リトアニアで栽培された100%亜麻繊維をアイルランドの紡績業者が輸入する
2.この原料をアイルランドで紡績し、織り上げる。⇒アイリッシュ・リネンの布地ができる
3.中国の縫製業者がこの布地を購入し裁断・縫製して洋服にする。
↓
この製品には、アイリッシュ・リネン使用、
という商標をつけることができます。
まとめ
市場でアイリッシュ・リネンという言葉を目にする機会が多いのも、
この緩い条件を見ると納得がいきますね。
アイルランドは、「アイリッシュ・リネン」
という言葉が有名になるだけでも、
「アイルランドの宣伝になるんでOK👌」
と思っているような気がしないでもないです。
これいい?
って聞くとすぐ
👌
なんじゃないの・・・?
いやー。
わかったようなわからんような。
それでもなんでも
ビバ!アイルランドということで
本日はおしまい!
お付き合いいただきありがとうございました。